二月ももうすぐ終わります。
年長さんたちの朝のお話しでは、「この世でいちばんすばらしい馬」というお話を読みました。
まるで生きているように描かれた馬が、絵からとびだし、その馬が悲しみの感情までも持つというお話しです。

毎年、子どもたちにこの時期に読むお話しです。
子どもたちに、動物は描くだけではなく、絵のなかの動物が生き生きといきている。
何枚も何枚も描いてみる。描いていくうちに、その対象物の特徴を意識する。そんな経験を与えたいと思います。
伊藤若冲という画家はごぞんじですか?
その画家は狩野派に学び、それでは満足せず、次は中国の宗元画(そうげんが)を熱心に学び模写します。
伊藤若冲の絵として有名なのは鶏の絵です。その方の話として、どんなに素晴らしい絵を模写したとしても満足できず、実際に自らが目で見て、描いたものに初めて満足できた。という話があります。

リズムが終わると、子どもたちは乗馬クラブに出かけました。
乗馬クラブにも了解を得て、上の段から、子どもたちは「馬」をよく見ました。
そしてスケッチします。


よく見るということは、漫然と見るというのとは違って、自分の動きを制止して、見るということです。
腰をおろし、目を見張り、耳をすませる。
馬がぬかるみを歩くと「ティチャ・ティチャ・ティチャ・」と足音がします。
走ると「ジャレ・ジャレ・ジャレ」と音がします。
時折、馬のいななきとは違う「ブルー・・・・」という息遣いが聞こえます。
「思ったより、馬の足は筋肉があるんだな。」
「しっぽが走ると風にゆれてる。」
子どもたちもジッと馬を見ます。そして描きます。
そして、帰ってからは、一人ひとりの絵の発表があります。
自分が気が付いたこと。を発表します。そして、その子の絵の素敵だと思うことを他の子が手をあげて伝えてくれます。
「ありがとう。」
友だちに自分の絵が素敵だと言われて嬉しそうです。
お昼寝後は長い和紙に、みんなで馬の絵を描きます。

他の子の気づきを自分の絵の中に取り込んでいる子もいます。
友だちの発見が自分の発見になりました。
あ、すごいと思ったのは、重なりを描いている子もいました。奥にいる馬と手前にいる馬の足が重なっていて、
上手に奥にいる馬の足の一部を消しています。
馬に関節があることも気が付いたようです。馬は関節を曲げながら走っている。
この子どもたちの対象物をよく見る。そして、気づいたことをみんなで共有していく。
この時期からの子どもたちは、もちろん一緒に過ごす、一緒に遊ぶ、同じことをするということで仲間としての意識は高まっていきますが、
さらに、「相手の意見を聞く、考え方を知る。」ということで、繋がりがより深くなるように思います。
いろんな意見が出てきて、自分の考えとずれが生じる。そういう機会があるから子ども同士で対話が生まれ、その結果子どもたちがつながりあうように思います。
私は、走っている馬も好きですが、走っている馬を馬小屋の窓から他の馬たちが顔を出してのぞいている姿も好きです。
馬にも気持ちがあって、感情がある。じっと見ることで子どもたちもより感じることと思います。
次の日は厩舎(きゅうしゃ)に入り、馬房(ばぼう)を見せてもらいました。


