「森は生きている」の世界が広がります。
ままむすめ、女王陛下、12月の精たち、動物たち
大人たちも歌とセリフを覚え、その役になりきります。
オオカミが灰色のふさふさのしっぽをつけて登場すると
ことり組(1歳児)さんたちは、オオカミだと思って泣き始めます。
顔はいつも一緒にいる優しい大人だとわかっているのに
しっぽを付けた途端にオオカミになってしまうようです。
この物語のもう一つ素敵なところは、
みなしごの女王陛下とみなしごのままむすめ二人が織りなす物語です。
女王陛下はわがままで、なんでも自分の思い通りにならなければ気に入りません。
「自然のおきてをわたしがつくります!四月に咲くマツユキソウを1月の御殿にかざりなさい!」
と命令するのです。
女王陛下と対照的に優しくて気立ての良いままむすめ。
物語の最後には、ままむすめに女王陛下がお願いをするシーンがあります。
「わたしは、人にものを頼むなんてことおそわらなかった。命令することしか知りません。だって私は女王なのよ」
という女王陛下に、身分の低い兵隊が言うのです。
「どうかお願いと言えばよいのです。」と。
女王陛下はままむすめに心からのお願いをします。
身分が違っても人が人にお願いをすることになんの違いもありません。
「どうかおねがい。」
そして、女王陛下は今までの自分を振り返ります。
「元はと言えば、真冬にマツユキソウをとって来いなんて言った私がいけなかったんだわ。」
この物語は子どもたちにたくさんのことを教えてくれます。
この物語に登場する女王陛下は悪い人でしょうか?
今まで、マツユキソウをみたこともなければ、自分で摘んだこともない。
汗をかいてはたらいたこともなければ、人に頼むことも知らない。
その女王陛下が、そりで森へ行き、そりにのってみんなで歌う楽しさを知り、スコップで雪を掘り、一緒に汗を流す気持ちよさを知った。
そして、人に何かを頼むことを学び、自分のこれまでのことを振り返ることを学ぶことができた。
森からたくさんのことを学んだ女王陛下を子どもたちは温かい気持ちで受け入れます。
ロールマットにのってカラスの歌を歌います。